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I n f o r m a t i o n

あなたは本当にメニエール病?

2019/05/31
さっそくめまい症の一つをご紹介させていただきます。

めまいといえばメニエール病という疾患をよく聞きます。
昔のお医者さんたちは、めまいの患者さんにはメニエールという言葉をよく使います。
これはお医者さんの歴史がそうさせてしまっています。
先日めまいのことについて記載させていただきましたが、「めまい」という表現は日本人にとてもなじみのある表現として使われてきました。
様々な症状をいずれも「めまい」という表現にまとめてしまうので、病院には「めまい」の患者さんが多く来院されていました。
しかし、「めまい」の中には様々な症状・疾患があり、これを網羅的に理解していないと治療が難しくありました。そこでお医者さんたちに広がったのがメニエールです。めまいとメニエールは響きが似ており、なじみやすい疾患でした。しかし、メニエール病は、フランスの医師プロスペル・メニエールさんが発見したからメニエール病という名前がついたのであって、めまいと響きが似ているからメニエール病とついたわけではないです。
さらに、メニエール病のようなめまいを起こす病気をメニエール症候群とつけてしまったために、メニエールという病気は幅広い意味をもち、より使われやすい病気になってしまったのです。

メニエール病は厚生労働省の特定疾患に指定されており、厳格な診断基準があります。

日本めまい平衡医学会の診断基準では下記の1.2.3.の3点を満たせばメニエール病と確定診断とする。また、1.と3.、あるいは2.と3.のみの場合にはメニエール病の疑いとする[1]

  1. 数十分から数時間の回転性めまい発作が反復する。
  2. 耳鳴り・難聴・耳閉塞感がめまいに伴って消長する。
  3. 諸検査で他のめまい・耳鳴り・難聴を起こす病気が鑑別(除外)できる。
上記を満たした人のみがメニエール病になります。
注目してほしいのは2番です。難聴ということばが入っています。しかもメニエール病の難聴には特徴があり、「低い音が聞きにくくなる」という低音障害型難聴になるのが特徴です。低音障害型難聴の診断をするためには標準純音聴力検査が必須であります。ということは、聴力検査を行わずにメニエール病の診断をすることはできないのです。

昔メニエールと言われたという患者さんに確認をすると、9割の人は聴力検査をしたことがないといわれます。しかしメニエールには聴力検査が必須なんです。
さらに、本当にメニエール病と診断できた方には、発作予防薬があります。
実際、今までめまいを繰り返されてきた方で、当院で発作予防薬を処方するとめまいがしなくなったという患者さんがいます。
もしも繰り返すめまい発作でお困りの患者さんがいたら、ぜひご相談ください。
(ご満足いただけなかったらごめんなさい。)

メニエール病については一回のコメントでは書ききれない内容になるため、今日はこれくらいにしてまた別の機会に記載させていただきます。

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かみむら耳鼻咽喉科 副院長 上村弘行